菅浩江『鬼女の都』
2005-11-26 20:19
こちらも『アイ・アム』と同じく祥伝社文庫からの菅浩江の作品。『鬼女の都』は、本格推理小説。ミヤコと名乗る謎の人物から、次々に送りつけられる脅迫文に、主人公の女子大生同人作家たちが立ち向かうという内容。
京都を知り尽くした著者による京都を舞台にした作品で、日本の伝統文化や伝統芸能を題材に書かれており、不安感を煽る内容はホラーさながら。しかしその得体の知れない怪奇現象も、京都の歴史や地理に立脚したものであり、論理的に暴かれていくところもまた見事としか言いようがありません。不安に陥れられ、そのあとで爽快な気分にさせられるという繰り返しで、最後まで読ませる勢いがあります。
本書に登場する主人公や、主人公が頼る名探偵役、脇役たちもみな個性的で面白い。菅浩江の作品の中でも間違いなく名作に数えられるでしょう。推理小説ファンだけでなく、SF ファンもハマるのではないかと思います。
コメントはまだありません
No comments yet.
Sorry, the comment form is closed at this time.