菅浩江『アイ・アム I am』

2005-11-26 18:28
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アイ・アム I am

菅浩江ファンを自称しながら、こんな小説が出ていたのを恥ずかしながら見落としていました。『アイ・アム I am』というタイトル、ロボットの描かれた表紙から連想されるとおり、ロボットが「私」の正体を探索するストーリー。映画『アイ・ロボット』を観てしまったあとでは物足りない気もしますが。

舞台は終末期医療(ホスピス)を行なっている病院で、主人公のロボットが看護・介護をしながら様々な患者と接することで、次第に自己の探求心が芽生えていくのですが、途中からその後の展開は読めてしまいます。しかし、ただの SF エンターテイメントではなく、生とは何か、死とは何かを考えさせる本書のテーマからは、ネタバレは些末なことと言えます。

私は昔から、ロボットと人間の対比を描ける SF こそ、純文学以上に人間の本質を追究できるジャンルだと思っています。本書はまさにそのメリットを生かしています。残念なのは自分らしい死に方を美化する傾向にあり、それが尊厳死や安楽死を助長させかねないことではないでしょうか。人生最大の喜びは、死に方や死に様で決まるものではありません。どんな死に方をしようとも後悔しないという人生を送りたいものです。

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