アイデアを盗む技術 (幻冬舎新書) (新書) 山名 宏和 (著
山名 宏和著『アイデアを盗む技術』 。本書もタイトルに惹かれて読みしたが、タイトルと内容が一致しないと思いました。「細かいことに気づく力」「疑問化する技術」「他人の視点を借りる」というような内容で、「他人のアイデアをどう拝借するか」「どうパクるか」といった観点で読むと期待を半分ほど裏切られます。
著者の山名宏和氏は放送作家です。ですので本書にもテレビの番組の事例が多数登場します。しかし普段からニュース以外のテレビ番組はほとんど見ず、民放は金曜ロードショーで見逃した映画かルパンの新作が放映されるときでもない限り見ないようにしている私にとってはピンと来ないものばかりでした。
ただ、バラエティー番組やCM はいかにして視聴者の注意を引きつるために苦心しているかといった裏側が書かれていてそういう部分ではおもしろかったです。
「おもしろい」と書きましたが、著者はこの「おもしろい」という言葉を独自に定義し、「おもしろい」はまず自己満足で十分
とし、自分がおもしろいと感じたものを他人が「どこがおもしろいんだ?」などとどのよう評価するかはまず関係ないと言います。とにかく自分だけの「おもしろい」
を溜めていくとそれが個性となってアウトプットに出てくるのだそうです。
そしてこの「おもしろい」は愉快とか楽しいと言うことだけではなく、不愉快なことも含むというのが作者の主張で、不快なことや嫌な出来事であっても、引いた視点で見ることにより「おもしろい」ものに転化するという技術を披露しています。
残念ながら「テレビの発想を盗む」という部分はしっくり来ませんでした。全体を通していえることは、アイデアのタネはそこら中に転がっているが、それに気づかないでいるという事例を紹介し、そのための気づき方、気づいたことを疑問などに転化する能力について触れている本だと思いました。
本書のタイトルには正直なところ疑問を感じますが、手にとってもらうために大袈裟なタイトルをつけるというのはまさに今日のテレビ番組的な発想だな感じますね。そういう方向性で書いたらもっと売れるのではないでしょうか。
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