林望『節約の王道』で高給取りの「節約」感を学べ
『節約の王道 』は作家で大学助教授の林望氏。リンボー先生という名前でも知られています。いろいろな本を書いている林先生の本ですが、この本は期待を裏切ります。
具体的な節約術の本というより、著者流の節約のための精神を説いた本です。「家計簿はつけない」「スーパーに行くときは献立を決めずに行く」「クルマは中古車」などなど。個々に参考になるものはもちろんありますが、まあ他の人も言っている当たり前のことです。
本書が残念なのは、リンボー先生の感覚があまりにも庶民とずれているために、「これは参考になる」とまったく思えないこと。たとえば車は「年収の一ヶ月分」のものを買う
といいながら、買ったのがベンツのC200の中古車なのですから。そんな年収の人が「スーツの適正額は一度に三着買っても懐が痛まない額」と書いていても説得力がありません。しかもその後に「テーラーメードで」と矛盾したような記述も見られるます。トンデモ本か?
また「プレゼントはしない・もらわない」というスタンスを貫くというのは、もはや節約を通り越して、人間関係の問題になってきます。私もプレゼントは好きではありませんが、実生活でそれを実践して貫き通せる立場の人は少ないでしょう。とくにサラリーマンならば。
そういうわけで、本書は一般市民と少し感覚のずれた人の節約術なので参考にしたいという観点で読むのはお薦めできません。そういう人たちの「節約」とはどういう感覚なのかを「学ぶ」と思ったら面白くツッコミながら読めるかもしれません。
コメントはまだありません
No comments yet.
Sorry, the comment form is closed at this time.