森山大道『犬の記憶』
本日は写真家森山大道氏のエッセイを収めた文庫本『犬の記憶』をご紹介します。森山大道の70年~80年代におけるエッセイを収めたロングセラーで、モノクロの写真も多数収録されています。彼の作風に引かれる人ならば、独特の文章と写真で何とも言えないもどかしい感傷に浸れること請け合いです。
本書前半の「犬の記憶」は当時のアサヒカメラに連載されたものを収録しているが、やや作られた文章で難解な文章と感じました。路上に出てマシンガンのように連写するという行為や、犬のように路地を這い回って撮影するという経験がないと共感できない部分はあるかもしれません。
が、「写真とは何なのか」追及し続けるという点で非常に引きつけられるものがありますし、写真を撮るという行為においてもこれだけスタンスや思いが異なるのだと、新たに認識をさせてくれるといういみで非常に興味深い内容でした。私がまだ理解できないのかもしれません。
個人的には後半に収録されている「僕の写真記」のエッセイの方が面白く読めました。こちらは森山大道がいかにして写真の道に入り、いかにして上京し、東松照明や細江英公、中平卓馬や山岸章二らと出会ったのかの自伝的な内容で、あまり作為的な文章ではないので読みやすかったです。
本書より15年後に刊行された続編の『犬の記憶 終章』もあります。こちらも買いましたがまだ読んでいません。近いうちに取りかかりたいと思います。
ちなみに森山大道氏のサイトは昨年12月より「一般財団法人森山大道写真財団」のサイトにリニューアルされましたが、すごいヘビーな Flash があり、CPU 使用率が異様に高くなりますのでご注意ください。
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