容疑者 室井慎次

2005-9-2 00:19
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別に観るつもりはなかったのですが、諸事情で公開直後に観てきました。『交渉人真下正義』があまりにもダメだったので、今回も期待しないで観に行きましたが、やはり期待を裏切らない出来映えでした。

なぜこの映画シリーズは、オタク、それもオタクっぽさを強調した人を悪役にするのでしょうか。なんかオタクを敵視しているんですかね。

そもそも柳葉敏郎演ずる室井慎次が、主役なのに口数が少なく、感情も乏しく、アクションシーンも無いせいで、まったく感情移入できません。エリートに対抗していくという、室井慎次を応援したくなるような設定も活かされていません。

しかも容疑をかけられて捕まるか捕まらないかのスリルを楽しめるのかと思ったら、冒頭で既に逮捕されてしまいます。それだけでもあっけにとられてしまいますが、逮捕されるまでの経緯が、なんと田中麗奈のナレーションで語られるというのもびっくり。あとオープニングに金かかってません。不要な説明(「ヘリポート」とか)が明朝体の字幕で端っこに出てくるのもわけが分かりません。

そして、なぜか室井慎次に感情移入できないのに脇役の田中麗奈が演じる新米弁護士の小原久美子には感情移入できるのです。というか、これ田中麗奈が主演の映画じゃないのか?と思うくらい、田中麗奈が中心に撮られています。室井慎次の重大な過去のシーンは物語上重要なウエイトを占めているにもかかわらず、映像もなく、ただセリフで語られるだけです。しかし、小原弁護士はちょっとした数秒の回想シーンにも、きっちり映像がついています。水着シーンもばっちり入っています。冒頭のナレーションが田中麗奈なのも、彼女が主演と考えれば納得いきます。

つまりこの映画は『容疑者 室井慎次』ではなく、田中麗奈主演の『弁護士 小原久美子』なのでしょう。でもそれじゃあ『踊る~』の観客が取り込めないから室井慎次が主役なだけです。

室井慎次が雨に打たれるシーン

そして、これは低予算映画ですか? と言いたくなるダサいカットの映像が満載。たとえば室井慎次が突然の雨に打たれるシーンですが、すごい不自然で人工的なシャワーって感じです。ほかにも空港のシーンが、いかにもセットって感じが丸出しで幻滅。沖縄のシーンも本当にロケに行ったのかと怒りたくなるくらい、どうでもいいアングルで、沖縄らしさがありません(はじめ三浦海岸あたりで撮ったのかと思ったら、某雑誌には三浦にならないように沖縄に1週間滞在して晴れの日を待ったのだとか。それであの画とは絶句)。

あーもう、これ以上は書きませんが、これに満足した人っているのでしょうか。こんな映画しか作れないフジテレビは将来生き残れないんじゃないかと不安です。フジテレビが潰れるのは別に構いませんが、日本映画の将来に憂いを感じる今日この頃です。

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