監視カメラ社会―もうプライバシーは存在しない
街角や道路に監視カメラが増えてきていることに、皆さん気がついていると思います。中には監視カメラに見えないカモフラージュ形や小型のものも……。嫌な社会になってきたと思う反面、防犯上監視カメラが必要な場面にも何度か遭遇しています。
『監視カメラ社会―もうプライバシーは存在しない』は、監視カメラ社会のメリット・デメリットをあげて、監視社会に至る経緯などを扱っています。
単に監視カメラの問題ではなく、その背後にある監視システムや諸問題について多く触れていままい。中でもアメリカと同盟国の作り上げた「エシュロン」「Carnivore」といった通信監視システムに多くを割いています。むしろ通信の盗聴などを含めた監視システムを取り上げることこそこの本の主題だったのではないかと思えるほどです。
この本は明確な結論こそ出していませんが、現代の監視社会が孕む問題を見事に浮き彫りにしていると思います。
筆者の述べるとおり、私たちは「誰にも見られたくない」という欲求と「誰かに護ってもらいたい」という要求が同居しています。プライバシーの面からすると、監視という行為からは極力逃れたいのですが、セキュリティの面から言うと、監視がどんどん強まっていくという現状の間で板挟みになっていると思います。
個人情報保護とはプライバシー保護とは異なります。個人情報はうまくコントロールすることにより、個人と企業(あるいは組織・国家)の双方が恩恵を受けられるものだと思います。セキュリティのためにある程度の監視や不便は教授すべきでしょう。しかし説明のないままにより(しかもアメリカによって)監視され、個人のメリットがわからないというのは納得できないものがあります。
近い将来、RFID が普及し、個人が望まなくても監視されプライバシーが犯される可能性が出てくるでしょう。本書を含めいろいろな本で勉強しておかないと自分のプライバシーを守れないと感じました。
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