他力本願とは
他力本願という言葉は、他人任せという意味ではありません。浄土仏教においてキーワードとなる大切な言葉ですが、大変誤解されています。
そもそも「他力」とは仏教の言葉で、他人の力という意味ですらありません。「他力」とは「阿弥陀如来の力」のみを指します。また「本願」とは、本当の願い、という意味で、今日の言葉で言えば約束ということです。
ですから「他力本願」とは「阿弥陀如来の力によってなされたお約束」ということであり、また他力本願のはたらきによって、強くたくましく生きていけることを指します。
しかし、今日では「他力本願」というと、他人を当てにして自己喪失や思考停止のように弱々しいイメージで使われています。これらは本来の意味を無視した正反対の用法なのです。
平成14年(2002年)5月16日付の全国紙に、オリンパス光学工業の全面広告が掲載されました。その中のキャッチコピーに他力本願から抜け出そう
というフレーズがありました。浄土真宗各派が厳重に抗議し、その結果オリンパス社は広告を撤回し、謝罪しました。
昭和43年、倉石忠雄農相が現行憲法は他力本願
と発言し、抗議を受けて最終的に辞任することになりました。ほかにも、鈴木元首相や、石原慎太郎知事も「他力本願」という言葉を誤用し抗議を受けています。
安易に使われている言葉ですが、本来の意味を知って正しく使いましょう。
ちなみに「他力」について触れましたが、作家の五木寛之氏は著書『他力』の中で、他力とは、目に見えない自分以外の何か大きな力が自分の生き方を支えているという考え方なのです。
とか、他力とは目に見えない大きな宇宙の力と言ってもよく、大きなエネルギーが見えない風のように流れていると感じるのです。
のように書いています。しかし、これでは他人の力も天候も「他力」になってしまいますので大変な誤解です。
仏教では「他力」以外の力はすべて「自力」ですので、宇宙の力も他人の力も「他力」と言ってはいけないのですが、その誤解を元に仏教を解釈しようとしているので、意味不明な珍説になってしまうのです。
他力本願
その意味、「大辞林 第二版」によると、 >| (1)弥陀の本願の力に頼って成仏すること。 (2)他人の力に頼って事をなすこと。他人まかせにすること。 |言想風景」の「他力本願とは」というエントリーには ……
トラックバック by まめろーぐ — 2004-04-17 14:01
今日の他力本願
「他力」=「阿弥陀如来の力」
「本願」=「本当の願い」
で、他力本願は本来、「阿弥陀如来の力によってなされたお約束」という意味なのだそうです。全然知りませんでした。これで一つ賢くなりましたが…この知識はどの程度役に立つのでしょうか? というか本来の意味で使…
トラックバック by 日記のようなモノ — 2004-11-3 19:56