交ぜ書きは意味が伝わりにくいから、漢字制限をやめよう!

2003-10-1 20:47
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新聞で目にする「皮ふ」「破たん」「失そう」「隠ぺい」といった交ぜ書きは、読みにくいです。それぞれ「皮膚」「破綻」「失踪」「隠蔽」と書くのはみなさんもご存じの通りです。

漢字による熟語は、知らなくても漢字から有る程度意味が推測できる利点があります。難しい漢字だからとひらがなにしてしまっては、漢字を覚えないだけでなく、せっかくの表意文字としての特徴が活かされません。

また、ひらがなではなく、別の易しい漢字に置き換えられた語もあります。「世論」「乱用」「失跡」などです。それぞれ「與論」「濫用」「失踪」の置き換えです。これも元の漢字と微妙に、あるいは大幅に異なった意味になってしまったものがあります。

なぜこうなったかと言えば、戦後公布された当用漢字表による漢字制限が元凶です。漢字制限の本来の目的は、漢字の廃止(!)です。漢字を少なくして、その後は廃止、さらには仮名も無くして、最終的には日本語をアルファベット表記にするという計画のためでした。

当時、日本語表記をローマ字化すれば学習効率は上がり、日本は発展すると主張していた一部知識人と、日本を占領した GHQ による計画です。結局、ローマ字化計画は完全には実現しませんでしたが、ローマ字化しなくても日本の識字率は 100% 近くなり、高度経済成長を遂げ、技術大国となりました。漢字とかローマ字ということと国が栄えることは無関係なのです。ですが、いまだに当用漢字は常用漢字と名前を変えて、漢字制限は続いています。

漢字の種類が少ない方がいいと言う向きもあるかもしれませんが、行きすぎた漢字の廃止は問題です。使わなれない漢字は自然に淘汰されればよいのです。

また、いまだに「パソコン時代にはローマ字の方が漢字変換しなくて良いので効率がよい。ローマ字化すべきだ」という人たちがいますが、何を寝ぼけているのでしょうか。未来の仮名漢字変換方式は音声入力中心だというのに。永遠にローマ字入力と変換作業を手でやるつもりなのでしょうか。

さて、 漢字制限により、表記が変わってしまった熟語を示します。一部新聞社の基準によるものも含みます。

よみ 漢字制限されたもの 本来の漢字
いんせき いん石 隕石
いんぺい 隠ぺい 隠蔽
うかい う回 迂回
かいざん 改ざん 改竄
かくせい 覚せい 覚醒
しげき 刺激 刺戟
しせき 史跡 史蹟
しっそう 失そう,失跡 失踪
しょうがい(しょうげ) 障害 障碍,障礙
すいせい すい星 彗星
そうごう 総合 綜合
そつう 疎通 疏通
たいはい 退廃 頽廃
たいふう 台風 颱風
ちゅうしゃく 注釈 註釈
とんざ とん挫 頓挫
はいせつ 排せつ 排泄
はたん 破たん 破綻
ひふ 皮ふ 皮膚
ふくしゅう 復しゅう 復讐
ふぞく 付属 附属
ぼうぎょ 防御 防禦
ほてん 補てん 補填
ゆううつ 憂うつ 憂鬱
よゆう 余裕 余猶
よろん 世論 與論
らち ら致 拉致
らんよう 乱用 濫用
ろうえい 漏えい 漏洩

上記以外にもまだまだあります。漢字制限とそれに伴う置き換え、読み替え、交ぜ書きは百害あって一利なしといっても過言ではないでしょう。

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