神田昌典『成功者の告白』
起業家として有名な神田昌典氏の『成功者の告白』は、実体験を元にした小説形式のビジネス書です。私は小説はもとより、政治、経済、科学、思想などいろいろなジャンルの本を読んでいます。ビジネス書も月数冊読んでいますが、あまり「勝ち組」とか「勝つ」「成功」という言葉が踊っている本は好きではありません。
「儲かる」ってのもいやですね。その手の本は表紙が鮮やかを通り越してケバいのが多いですし。しかし、『成功者の告白』は、すっきりとしたデザインとあまりにベタなタイトルに魅せられて(?)手に取ってしまいました。これが、読み始めたら面白いのです。引き込まれるように一気に読破してしまいました。
成功者の体験本というと、「私はこのようにして儲けた」とか、良いことばかり書かれているような印象があります。しかし、この本は違いました。
起業家として成功するまでに次々わき上がってくる不安や、失敗談、事業が軌道に乗ってからも次々と起こる事件や、家庭のひずみなど、いままであまり語られることのなかった暗部が描かれています。
成功者といわれる人たちが必ず踏んでしまう「地雷」には、法則があるというのが本書に一貫した流れで、子供の病気、家庭の崩壊、会社の人間関係の悪化など、これらは一部の人に現われるものではなく、すべての起業家におとずれるものなのだとしています。そして仕事と過程の密接な関係を主張しています。
必然の根拠としては「マーフィーの法則」や「潜在意識」などが挙げられているため、科学的な観点から因果関係を説明しているわけではありません。(まあそれは成功哲学全般に言えることなのですが。)しかし、起業家、経営コンサルタントとして名を馳せる筆者の思想を垣間見れるので面白いです。
副業・プチ起業ブームですが、これから起業してみようと考えているはもちろん、すでに起業した人、そして壁にぶち当たっているビジネスマンの方々も読んで損はないです。晴雨法則本にありがちな「撒き餌臭」がないのも良いです。お薦めです。
コメントはまだありません
No comments yet.
Sorry, the comment form is closed at this time.