『北京ヴァイオリン』

2003-10-13 12:49
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中国の映画『北京ヴァイオリン』を観ました。公開されてから日数が経っているのに何をいまさら、と言われるかも知れませんが、地方なのでフィルムがようやく巡業してきたのです。というものの、この映画のことは観るまで全くと言っていいほど知りませんでした。しかし感動の名作です。泣けました。

後で知りましたが、監督は私のお気に入り『始皇帝暗殺』の陳凱歌(チェン・カイコー)でした。ハリウッド進出も果たした中国の名監督です。物語はヴァイオリンの天才である13歳の少年と、その父親を中心に描かれます。思春期の少年の感情的な不安定さがよく描かれていると思います。また少年をヴァイオリンのプロにしよう頑張る父親の姿が印象的で、その父親が実に泣けるのです。『北の国から』の田中邦衛という感じでしょうか。まじめで不器用なお父さんといった感じです。

映画では、急速な発展を遂げる中国の不公平さを見事に描いています。田舎から出てきたお父さんと、都会的な若い女性の対比や、二人の異なる性格のヴァイオリン教師の違いが、中国の発展の中にも取り残された世界があることを描いています。特に「他に適任がいないから」陳凱歌監督自らが演じたというヴァイオリン教師は難しい役柄で、芸術もわかる上にビジネスとしても成功させるという新しいタイプの人間です。芸術や思想だけではなく、興行的に成功させなければならない映画監督の立場だからこそ出来たのだと思います。この映画では「お金」が一つの象徴として扱われています。根底に流れる思想はともあれ、全編に流れるクラシックの名曲が、クライマックスでは映像・編集と見事に融合され感動です。

余談ですが、北京ヴァイオリン批評を探したところ、毎日新聞の新作ガイドが見つかりました。読んで唖然、この映画がメロドラマ? 一体何をどう観たのでしょうか。まったく的はずれな批評です。というか作品への批評ではなく監督を貶しているだけですね。この記事を書いた「大島透」なる人物が気になったので調べてみましたが、やはりおかしな評論を書いては叩かれている様子。ロード・オブ・ザ・リングの批評の頓珍漢ぶりは開いた口が塞がりません。大島透の書いた批評は要注意ですね。

16年3月29日追記

『北京ヴァイオリン』のDVD が発売になります。映画館で観られなかった人は要チェックです。

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