ソードワールド短編集『へっぽこ冒険者とイオドの宝』

2005-7-30 11:30
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ソード・ワールド短編集 へっぽこ冒険者とイオドの宝

ソード・ワールド短編集 へっぽこ冒険者とイオドの宝は今年の2月に刊行されたソードワールド短編集です。ソードワールド小説の46冊目にあたります。タイトルに「へっぽこ冒険者」と書かれており、表紙もイリーナですが、彼らが出てくるのは4話中の1話のみです。

むしろ、本短編集で注目すべきは、山本弘氏の『サーラの冒険』シリーズの外伝『奪わぬことあたわぬ宝』が収録されていることでしょう。サーラの冒険シリーズが10年ぶりに復活したのは、ファンにとってなによりの喜びです。

そして、この短編集は『奪わぬことあたわぬ宝』を起点としたリレー小説になっており、西部諸国を舞台に「イオドの宝」や登場人物が、作品を超えてつながっていて、そこが醍醐味と言えます。リレーの最後は清松みゆき氏の『赤い鎧』シリーズになっており、こちらも読ませる内容あでふり、作品集のまとめに相応しい謎解きがなされる素晴らしい話です。

とはいえ、複数の作者が原稿を寄せる短編集ですので、残念ながら書き手の力量の差が出てしまっています。山本弘、清松みゆき両氏に比べると、他の作品はやはり見劣りしてしまいます。その理由の一つに、ソードワールド小説でありがちな「酒場のシーン。パーティのメンバーがすべて登場」という部分から始まることが挙げられます。物語の冒頭から登場人物が一度に5人も出てくるため、混乱してなかなか読み進めることができませんでした。

個人的にはソードワールドに限らず山本弘氏の小説は好きなので、『サーラの冒険』の復活が嬉しいところです。今月は『幸せをつかみたい! サーラの冒険(5)』も発刊され、旧1~4巻も増刷されて並んでいるようです。こちらも要チェックですね。

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