新ファイルシステムWinFSはLonghornに間に合わず

2004-8-28 12:37
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ITmedia の記事 によると、Microsoft は 次期 Windows Longhorn(コードネーム)の計画を変更し、WinFS と呼ばれる新しいファイルシステムは Longhorn のリリース後にベータ版が登場するということになりました。これで、Longhorn は 2006 年のリリースが死守できそうですが、売りの一つである WinFS は間に合わないことが確定しました。

これは、Microsft と Google の戦いに決定的な影響をもたらすでしょう。

WinSF とは何か

WinFS は現行の NTFS を置き換えるものではなく、NTFS 上に構築されるサブシステムです。とはいうものの RDBMS を基にしていて、ファイルやフォルダに見えるものは、データベースに格納されたデータになります。ファイルの中味だけではなく、所属するフォルダや、各種メタデータ(作成者、作成日)などがデータベースに保存されます。デジカメの写真であれば、絞り、シャッタースピードの様な撮影情報も入るでしょうし、音楽のデータであれば、アーティスト名、曲名、ジャンルなどのデータも WinFS に入ります。

ファイルやフォルダに見えるものは仮想的な「ビュー」であり、一つのファイルを複数のフォルダに存在させることも可能になります。さらに Microsoft の戦略では、レジストリ、イベントログ、電子メール、アドレス帳なども WinSF に統合させるとしています。

これらのデータにアクセスする方法は、SQL や XML といったクエリーや、API などがあります。従来の Win32 アプリケーションからもファイルとして扱うことも可能です。

WinFS は Longhorn のすべてのフォルダに適用されるわけではなく、基本的には Documents and Settings フォルダに適用されます。つまり「マイドキュメント」や「デスクトップ」などが WinFS で構成され、Program Files や System32 ディレクトリなどは従来通り NTFS で構成されます。逆に言うと、プログラムの作成するファイルは、Documents and Settings 下に保存することが望ましくなりますし、Documents and Settings に入ったデータは自動的にデータベースに格納されることになります。

デスクトップ検索が必要な理由

現状の Windows 2000 や XP でさえ、Documents and Settings の下はジャングルのような様相を呈していますが、ここに電子メールからデジカメのデータからビジネス文書までごちゃごちゃとはいるわけです。ここから必要な情報を取り出すのが Microsoft が現在必死で取り組んでいる「デスクトップ検索」技術です。

MS のデスクトップ検索は、Google や Yahoo への対抗としての側面が取り上げられることが多いですが、個人がテラバイト級のハードディスクに、膨大なデータを抛り込んで利用する時代を予測してのものです。ファイル数が少ないときは、手作業でファイル名を付け替えたり、フォルダに分類できましたが、これからの時代は入ってくる情報が多くなり、とても手作業では追いつかなくなります。それを解決する方法は「検索」して瞬時に情報を取り出すことです。

この検索技術を使えるものにするためには、現在の「NTFS + インデックスサービス」といった仕組みでは限界があるのです。Microsoft が Longhorn で WinFS を導入しようとした理由はそこにあります。しかし、WinFS が遅れるとなれば、MS のデスクトップ検索計画に影響があるのは必至です。そして、これは Google に有利になると思います。

Google も同じところを目指している

なぜ Google が有利になるかと言えば、Google も既に同じ試みを始めているからです。Google はインターネット上に、独自の分散ファイルシステムを構築しており、これが Google の検索データベースになっています。ご存じのように Google はシンプルな検索インターフェースと、素早い検索結果を提供しています。これをデスクトップに広げようというのが Google デスクバーですが、Google の考えていることは単に「デスクトップのファイルも一緒に検索できる」ようにすることではありません。その鍵は Gmail にあります。

Google は Gmail というメールサービスを始めました。まだテスト版ですが大きな話題になったのは、1GByte というその保存容量です。その後様々なウェブメールサービスが容量の増大を相次いで発表しました。livedoor ギガメーラーなども、Gmail を意識したものでしょう。しかし、Gmail の特色は、容量が大きいことではなく、新しい利用方法にあると言えます。

いままでのウェブメールや、メールソフトのように、手作業でフォルダに仕分けするのではなく、Google が得意とする「検索」により、瞬時に探し出させるインターフェースになっています。また、メールにラベルをつけて分類できますが、一つのメールに複数のラベルをつけて分類できます。

Google と Microsoft のベクトルは同じ

もうおわかりだと思いますが、Google が Gmail で提案する方法は、Microsoft が WinFS + デスクトップ検索でやろうとしていることと似ています。Google がメールだけでなく、オンラインストレージサービスでファイル検索を提供すれば、ほぼ同じものになります。違いは、データがインターネット上にあるか、ローカルマシン上にあるかということだけです。梅田望夫氏がGoogleはインターネットのOSと表現していますが、まさにぴったりの言葉です。

WinFS が遅れると、Microsoft は Google に後れを取ることになります。インターネットのOS は、旧式の Windows からでも利用できますし、ライバルの Mac OS や、Linux からでも利用できます。新しい Windows にお金を払って乗り換える必要もなくなります。Google は先頃、デジタル写真管理の Picasa を買収しました。Picasa は既に Google のウェブログサービス Blogger と提携していたので、ウェブログサービスの強化という解説がなされていましたが、それだけにとどまらず、個人の写真をインターネット上で管理・検索させるためではないかと推測できます。

既存のファイルシステムを利用した検索は似て非なるもの

先頃 Apple が次期 Mac OS X にメタデータ検索機能をつけると発表しました。メールやアドレスなども統合検索できまるものです。しかし、基本的には既存ファイルシステムがベースであり、Windows のインデックスサービスに毛が生えたものといっても良いでしょう。
また、KDE が次期バージョンにグーグルふうの検索機能搭載を計画というニュースも流れましたが、こちらもファイルシステムからの改善ではありません。すでに KabayakiEstraier などのアプローチも存在しています。

Google、Microsoft の取り組みと、Apple、KDE 陣営の取り組みは似て非なるものなのです。Google と Microsoft は「便利な機能」ではなく「OS」を賭けて戦っているのです。

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