『新聞記者という仕事』──新聞と世論の裏側

2003-12-5 21:35
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柴田鉄治著『新聞記者という仕事』

夏頃に刊行された新書本ですが、読んだのは最近ですが良い内容なので紹介します。

タイトル通り新聞記者の仕事について書かれた本で、日頃読んでいる新聞がどのようにして作られるのか、その記者の仕事についていろいろと知ることができます。たとえば、政治の取材をするための記者クラブとか、報道が解禁される時刻を定めた報道協定はどういうものか、その弱点もわかりやすく書かれています。

しかし、本書最大の特徴は、朝日新聞の論説委員、社会部長、出版局長などを歴任した著者が、ジャーナリズムの原点に立ち戻って、「新聞よ、死ぬな」と、現代の新聞に警鐘を鳴らしているところにあります。

著者の主張、ジャーナリズムとは権力に対する監視機能であるということで一貫しています。そして産業としての新聞の衰退ではなく、ジャーナリズムとしての新聞の衰退を嘆いています。

戦後から湾岸戦争、同時多発テロ、イラク戦争と至る過程で新聞のジャーナリズム精神が如何に衰えていったかのくだりは、なかなか読み応えあります。ほかにも珊瑚事件などの捏造報道や、インターネットからの記事無断盗用についても触れられており面白いです。しかし何より感銘を受けたのは、著者の戦争に対する認識です。

瞬時に三〇万人が死傷したヒロシマ・ナガサキ、一〇万人が死んだ東京大空襲、いずれも許し難い非道な行為だが、米国に報復しようと考えている日本人がいないのは、終戦時、日本は感情的な怨恨から離れて、「戦争そのものが悪なのだ」と一段高いところに考えを「昇華」させたからだろう。

このように、テロの報復が繰り返される世界において、日本の新聞が戦争容認ではなく、平和を訴えることが重要だとしています。まさにその通りだと思います。非常に勉強になり、考えさせられた一冊です。

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