IME と FEP
日本語入力・かな漢字変換システムのことを FEP(フェップ) というのを見かけます。それに対して「FEPはおかしいよ、正しくはIMEというんだよ」と親切に教える人があります。
しかし、これも必ずしも正確ではありません。
そもそもFEPとは Front End Processer の略で「先に処理する機構」という意味です。文字通りに解釈すれば、日本語入力やかな漢字変換という意味はありません。実際、大型汎用機においては、メインプロセッサの負担軽減のために、通信などの前処理を行なう補助装置のことを FEP といいます。
これが、かな漢字変換システムを指すようになったのは MS-DOS の時代に遡ります。MS-DOS はシングルタスク OS だったので、複数のアプリケーションを同時に実行できませんでした。かな漢字変換システムをアプリケーションとして実装してしまうと、他のアプリケーションに入力できないので意味がありません。
そこで、当時の汎用かな漢字変換システムは、OS にキー入力データを渡す前段階で動作するデバイスドライバとして実装されました。そのため「先に動作するもの」という意味で「日本語入力フロントエンドプロセッサ」という言葉が用いられました。ところが、「フロントエンドプロセッサ」の部分が「かな漢字変換システム」という意味合いで使われるようになり定着してしまったのです。
その後、Windows の時代になると、複数のアプリケーションを同時に実行できるようになりました。そこでかな漢字変換システムもデバイスドライバではなく、一つのアプリケーションとして実装されるようになりました。これではFEPという呼び名は相応しくないからか、かな漢字変換システムは IME という呼ばれるようになったのです。
IME とは Input Method Editor の略で「入力方法編集プログラム」という意味です。実際には編集ではなく変換するためのプログラムなので、Editor ではなく Converter の方が適切だったのではないかと思うのですが。ちなみに IME という呼称を使い始めたのは Microsoft だと言われ、IME は Windows のみで用いられている言葉です。Macintosh では IM (Input Method)、X Window System では XIM と言い、統一した略語はありません。
ここまで読んできた方はお分かりのように、FEP と IME のどちらが適切かというのは、対象としている日本語入力・かな漢字変換システムによって異なります。Windows の ATOK などの話題では IME とすべきでしょう。Mac の「ことえり」を話題にするならば IM というべきなのです。
さて、日本語入力・かな漢字変換システム全般の話をするときにはどうしたらよいでしょうか。
この記事のように略語ではなく日本語で表記するのが良いかも知れません。
FEPとIME
パソコンがあまり得意でない人から、電話で 「IMEがおかしいんだけど、どうしたらいい?」って唐突に言われて こうなんじゃない?と大体怪しそうな場所をアドバイスしていたのですが どうも話が合わなくて「OSのバージョンと、MS-IMEのバージョンは?」と訊ねたら 「Windo…
トラックバック by ユビキタスって、何? — 2004-02-23 17:51
こんにちは。たくぞうです。
IMEが何の略だか知りたくて、Googleで検索したら辿り着きました。(事の顛末はトラックバックしました)
知人には「それはFEPと呼ぶんだよ」と説明しましたが、ちゃんと訂正しておきます
コメント by たくぞう — 2004-02-23 17:55
文書の校正(ワード)
昨日より、ワードを使って、文書の訂正作業をしている。労務関係の規定集なので、箇条
トラックバック by 无元文集解放区 — 2005-03-18 22:09