小室哲哉の海外進出プロジェクト “EUROGROOVE” / ユーログルーヴ
ここ最近、私の中では90年代のユーロが流行っています。昔なら CD を引っ張り出して聴いたり、中古レコードショップを巡ったものですが、今日ではウェブのお陰で、かなり掘り下げて調べることができます。そこで、Amazon でぽちっとしてしまったりするのですが……。
というわけで、しばらくユーロものを立て続けに紹介するつもりです。ユーロにはあまり興味がない、何を買って良いか分からないという人のために、まずは小室哲哉大先生のコンピレーション “EUROGROOVE” シリーズをご紹介しましょう。
EUROGROOVE(ユーログルーブ)はユーロビートと伝統楽器のグルーブを掛け合わせた言葉で、小室哲哉が 1994年から1996年にかけて行なっていたプロジェクト名です。EUROGROOVE という名前のユニットを結成したほか、ジャンルの名前としても利用され、またそのコンピレーション CD の名称でもあります。わかりにくいですね。ちなみにジャケットのマークも”E”と”G”を掛け合わせたものになっています。
当初は小室哲哉と、trf の DJ KOO に、フリーのヴォーカリストを複数フューチャーするという形式でスタート。ヴォーカリストには Silvia、Dominique、Einstein、Final Touch という名前がクレジットされています。ゲストヴォーカルとして Dannii Minogue をフューチャーした “Rescue Me” は、映画『写楽』の主題歌になったこともあり、そこそこ知られているのではないかと思います。
さらに、”Rescue Me” には翠玲が歌う日本語バージョン、中国語バージョンがあって、もはやユーロという枠を超えていた部分もありました。
コンピレーションは #01~#04 の 4枚、さらにノンストップミックスが発売され、当時の UK などでヒットした楽曲のコンビレーションに、ユニットとしての EUROGROOVE の楽曲が数曲程度入っているという構成です。ただし #03 だけは、ユニットとしての EUROGROOVE の曲のみを収録しています。小室哲哉ファンとしては、小室哲哉の曲目当てにこのコンピを購入し、ここから他のアーティストに興味を広げていった方も多いのではないでしょうか。
記念すべき1作目の EUROGROOVE #01は、 EUROGROOVE としての楽曲は “Scan Me” と “Hanging On” が収録。耳を引くのは、”Move On Baby”, “You Gotta 2 Know” のカペラ (Capella)ですね。Twenty 4 Seven の “Is It Love” など、当時のヒット曲も押さえられていますね。もう少し詳しく書きたいのですが、手許に見あたらないので、詳細が確認できませんでした。
EUROGROOVE #02の冒頭は EUROGROOVE の “Dive to Paradise (Remix)” ですが、DJ KOO の RAP がなかなか面白いですね。2曲目の “Scan Me” は Capella によるリミックス。4曲目の Twenty 4 Seven も男性ラップと女性ヴォーカルという取り合わせが、この時代の雰囲気を醸し出して良いですね。10曲目の Fun Factory の “Close To You” も似た感じですね。
小室哲哉自身がライナーノーツの中でとれが僕の作品なのか、どれがUKチャートを賑わしている楽曲なのか・・・わかりますか? もしあなたの予想が外れたなら、僕の狙いは当たりです。
と書いているように、そうとう意識して似せて曲を作っていることがわかります。
EUROGROOVE #03は、シリーズ初の完全オリジナル楽曲のみで構成されたアルバムです。といっても、”Be Happy”, “Scan Me”, “Dive To Paradise” などは既発表曲ですがリミックスされたものが収録されています。(“Move Your Body Baby” は Original Mix がは収録。)
この中で面白いのが Dannii Minogue がヴォーカルを務める2曲目 “Boogie Woogie”。なんと小室哲哉のコーラスまで堪能できます。のちにシングルカットされたなかなかいい曲です。そして残念ながらシングルにはなりませんでしたが、5曲目の Brand New Kind (always) ~Club Mix ~ が秀逸。Final Touch と男性ラッパー (DJ KOO?)のユニゾン・ラップが快感すぎます。個人的にはこれをヘビーローテーションで聴きまくりでした。いま確認したら、この曲の歌詞は Kalab James & Melody Sexton となっていますね。いや、これ凄い曲ですわ。
そしてなぜか7曲目にはバラード曲の “The Windsong” が収録。小室自身は解説でEUROGROOVE の基本はポップスです。声を大にして、「これはダンスミュージックです」と言う気はありません。
と書いています。そういう意味では TM NETWORK からの路線の延長と捉えることもできるわけですね。
EUROGROOVE #04。このアルバムではEUROGROOVE 名義の “Move Your Body Baby”, “Dive to Pridise” は、外人メンバー3人に固定された海外向けバージョンが収録されています。アレンジやヴォーカルが変わっていて、かなり印象が異なります。
このコンピでは Nicki French の “Stop in the Name of Love”, “Did You Ever Really Love Me?” が出色。”Stop in the Name of Love” は The Supremes のヒット曲のカヴァーで、後に globe もカヴァーしています。実は小室哲哉は、この時点でコンピに取り上げていたのです。
Whigfield の “Think of You”、Clock の “AXEL F” などのヒット曲も多い中で、個人的には Ginger の “It’s a Shame” が気に入ったのですが、このアーティストは他に何を出しているんでしょうかね。あと、14曲目の Bananarama の “I Found Love” は小室哲哉が楽曲提供しているという点で特筆すべきでしょう。この頃が小室ユーログルーヴのハイライトでした(笑)
その後、1995年末にリリースされた TETSUYA KOMURO PRODUCE THE BEST OF EUROGROOVE NON-STOP MIXは、まさに EUROGROOVE のベスト盤という感じで突っ走っています。”Let’s GO” は F1 グランプリのテーマとして使われたので、聴き覚えのある方も多いかもしれません。
ただし、”Move Your Body Baby” や “It’s on you (Scan Me)” などは海外進出バージョンです。面白いのは trf の『寒い夜だから』の英語によるカヴァー曲 “Wishing You Were There” の 8cm CD が特典として付いていたことでしょうか。ちなみに海外版とか、12インチまで入れると、結構な数のアイテムがあって、私も把握しきれていません。
これらのコンピレーションは現在廃盤ですが、Amazon のマーケットプレイスでは 1円~で出ていることが多いので、中古版であれば比較的入手しやすいと思います。小室哲哉のファンの方なら、なかなかレアな曲が多くて楽しめますし、お買い得ですよ。
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