パナソニックがヘルスケアPCを公開
パナソニックがヘルスケア向けPC H1を公開しました。8月に開発の発表があったものです。来年には発売ということで、なかなか楽しみです。
パナソニック社のサイトより。
基本的には 10.4インチの タフブックでペンタブレット対応と耐薬品性、クレードルなど、使いやすそうな感じ。某千葉県の病院が独自に開発した携帯型端末とコンセプトは似ていますが、さらに使いやすそうな感じ。看護師の使う電子カルテ端末はノート PC か、PDA の二択だったのが、一気に幅が広がった感じです。
スペック的にちょっと残念だったのは、液晶が XGA と狭いことと、バーコードリーダー機能が内蔵されていないこと。それに重さも1.5kgは頑張っているのだろうけど、もう少し軽くなるといいなあと思います。
XGA で足りない理由は、情報の一覧性です。カルテ、オーダー、バイタルチャート、看護計画、検査、手術、食事などなど看護師が把握しなければならない情報はたくさんあり、一覧性が高いかどうかで、業務効率が著しく変わるからです。数年前の電子カルテは XGA が主流でしたが、いまはほとんど SXGA 以上が標準的だと思うので、5年使うことを考えるとこれはかなり躊躇してしまうところ。
もっとも液晶の大きさとの兼ね合いもあるので、10.4 インチXGA でも結構文字は小さめだと思いますから、ペン入力ということも考えるとバランスは取れていると思います。
当初、バーコードリーダーは内蔵されていないと書きましたが、ITproの記事を見ると、バーコードリーダーと PFID リーダーも内蔵されているそうです。
バーコードリーダーは点滴時における患者間違い防止などの点でかなり欲しい機能ですが、先に挙げた某病院の端末はバーコードリーダー内蔵でした。USB バーコードリーダーをつければ良いのですが、せっかくのスマートな PC が台無しです。もっとも点滴の際は、点滴ボトルや患者さんのリストバンドのバーコードを読むので、1.5kg の端末よりも軽いバーコードリーダーが別にあった方が実際には便利かもしれません。点滴を運ぶ際はどうせワゴンも必要ですしね。ここは微妙なところです。
また、カメラを内蔵しているということで、褥瘡の記録なども便利になりますね。上手く使えば QRコードの読み込みなどにも使えそうです。ただ、カメラによるバーコード認識とレーザーによる読み取りでは時間が段違いなので、カメラではイライラしそうです。
あと、さりげなく Bluetooth 対応しているので便利そうですが、Bluetooth は医療用として認可されていないらしく、医療機器と接続する用途にはまだ使えないという話を最近聞きました。体温計、体重計、心電計などから Bluetooth でデータを取り込めたらすごい楽なんですけどね。
で、パナソニックが医療向けの PC を強化したのはうまい戦略だと思います。というのは、電子カルテは国内では富士通と NEC が大手ですが、両社とも自社製品のパソコンを利用してしまいます。独立系ベンダーも価格勝負なところもあって DELL を使うところが多く、パナソニックのノート PC はなかなか使ってもらえませんでした。富士通はわざわざ電子カルテ用に PDA まで自社開発したほどです。
パナソニックはこのような医療に特化した製品を出すことで、メーカー系以外の電子カルテベンダーに使ってもらえるわけです。実際に今日も電子カルテベンダーの人と話をして、これはいいねと盛り上がりました。ただ、やはり XGA という点がマイナスポイントになっていました。
ところでパナソニックといえば、三洋電機を買収する話が取りざたされていますが、三洋はクリニック向けの電子カルテではかなりのシェアを占めています。パナソニックは医療向けの製品としては放射線の画像システム (PACS) を持っていますが、三洋の電子カルテ部門と一体になったら結構すごい事になるのではないかと思います。
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