sendmail メールサーバ構築・設定

2003-5-17 00:00
このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事の内容は Red Hat Linux 7.3 向けに書かれたもので、古くなっている部分があります。ご注意下さい。

はじめに

sendmail を利用したメールサーバを構築します。試した環境は、Redhat Linux 7.3 + sendmail 8.11.6 です。以下は Linux のインストール時に sendmail もインストールされているものとして話を進めます。

Sendmail は Sendmail 社が開発しているメール配送ソフト(MTA)です。オープンソース版の sendmail は無料で利用することが出来ます。インターネットで利用されているメールサーバの約7割は、sendmail を利用していると言われています。1982 年のリリース以来、20年以上もの間、使われて続けています。

sendmail が開発された当初は、インターネットは大学や研究機関など一部で利用されていたため、セキュリティはほとんど考慮されていませんでした。ところが、インターネットが商業利用され始めると、モラルのない利用者が現われ、sendmail のセキュリティの問題が次々と露呈してきました。しかし、現在ではほとんどのセキュリティ問題は修正・解決されています。

sendmail.mc の編集

sendmail の設定は、難解なことで有名です。さらに、他の Linux のアプリケーションの設定とも方式がかなり異なっています。sendmail の設定ファイルは /etc/sendmail.cf ですが、読むことも難しければ、手作業で編集することも非常に困難です。

そこで、比較的わかりやすい、m4 マクロを利用する方法が一般的です。sendmail.mc は /etc/mail ディレクトリに入っています。このファイルを root で編集します。その後、次のように m4 コマンドで sendmail.cf ファイルを生成します。

  # m4 /etc/mail/sendmail.mc > /etc/sendmail.cf

受け取るドメインの指定

sendmail がメールを受け取るドメインを local-host-names ファイルに指定します。この記述がないと、sendmail はメールを受信しません。

  # vi /etc/mail/local-host-names

バーチャルドメインの設定になっているときは、

  example.net
  example.jp

のように受け取りたいドメイン名を列挙します。

sendmail の起動

sendmail を起動して、テストしてみます。

  # service sendmail start
  sendmailを起動中: [  OK  ]

コンソール上から、mail コマンドを使ってメールの送信テストをします。mail コマンドに引数で与えたユーザ宛にメールが送信されます。 次のように入力してください。

  # mail root
  Subject: test
  This Mail is test.
  .
  Cc:

本文入力を終えるには行頭で .(ピリオド) のみを入力します。いまは CC を指定する必要はありません。次のようにメールが届くはずです。

  You have new mail in /var/spool/mail/root

再び mail コマンドを使って、今度は受信のテストを行ないます。mail コマンドは引数無しで実行すると、自分のメールボックスを見ることができます。

  # mail
  Mail version 8.1 6/6/93.  Type ? for help.
  "/var/spool/mail/fumika": 1 messages 1 new 1 unread
  >U  1 fumika@net.jp    Sat May 17 12:34  14/375   "test"

メールが届いていれば、sendmail は動作しています。

自動起動

sendmail の自動起動設定は、ntsysv コマンドで行ないます。

  # ntsysv

sendmail に * をつけて自動起動するようにします。

SMTP認証を利用したメール送信

筆者が試した sendmail 8.11.6 では、デフォルトで SMTP 認証(SMTP_AUTH) の設定がなされているので、SMTP 認証に対応したメールクライアントからであれば、メールの送信が可能です。2003年5月の時点では、ほとんどのメールクライアントが SMTP 認証対応を済ませています。例えば、Netscape 7.0 に附属のメールクライアントは、SMTP 認証に対応しています。[送信サーバ(SMTP)の設定]で[名前とパスワードを使用する]をチェックします。

SMTP 認証がうまく行かない場合は、sendmail.mc ファイルの以下の行が有効になっているかチェックしてください。

  TRUST_AUTH_MECH(`DIGEST-MD5 CRAM-MD5 LOGIN PLAIN')dnl
  define(`confAUTH_MECHANISMS', `DIGEST-MD5 CRAM-MD5 LOGIN PLAIN')dnl

また、SMTP 認証には、Cyrus SASL という認証機能のプログラムがインストールされている必要がありますので、うまく行かない場合は確認してください。

  # rpm -qa | grep cyrus-sasl
  cyrus-sasl-1.5.24-25
  cyrus-sasl-devel-1.5.24-25
  cyrus-sasl-plain-1.5.24-25
  cyrus-sasl-md5-1.5.24-25

リレーの許可

参考までに、SMTP 認証に対応していないメールクライアントでの送信を考えます。sendmail は初期状態では、SMTP 認証を利用しない場合は、ローカルホスト以外からのメールを受け付けないようになっています。この制限を解除して、ネットワーク経由でのメール転送(リレー)をできるようにするには sendmail.mc ファイルの以下の行をコメント化します。

  DAEMON_OPTIONS(`Port=smtp,Addr=127.0.0.1, Name=MTA')
  ↓
  dnl DAEMON_OPTIONS(`Port=smtp,Addr=127.0.0.1, Name=MTA')

mc ファイルでは、dnl 以降、行末までがコメント扱いになります。その後、sendmail.cf ファイルを生成し、sendmail を再起動します。これで SMTP 認証無しで、SMTP を利用することが可能になります。

  # m4 /etc/mail/sendmail.mc > /etc/mail/sendmail.cf
  # service sendmail restart

不正リレーの防止

さて、メールのリレーが可能になりましたが、このままインターネットにメールサーバを公開してしまうと、誰でも sendmail を利用してメールの送信ができてしまいます。このように誰でもメールの転送が出来るサーバをオープンリレーサーバといいます。誰でもメールを送信できてしまうため、迷惑メールを大量に送信するのに使われてしまいます。このような行為に利用されると、メールの処理に時間がかかってサーバが過負荷に陥ったり、エラーメールや抗議のメールが大量に届くことになります。また、迷惑メールを送信したサーバということで、他のメールサーバから接続を遮断されてしまうかもしれません。踏み台にされたのが会社のサーバであれば、信用問題にもなりかねません。

不正なリレーを防止するために、アクセスデータベースファイルを利用して、アクセス制限をかけます。この機能を使うには、sendmail.mc で、次の行が有効になっている必要があります。

  FEATURE(`access_db',`hash -o /etc/mail/access.db')dnl

/etc/mail/access ファイルを修正して、リレーを許可する IP アドレスを指定します。ここではイントラネットの IP アドレス 192.168.0.0/24 からの送信を許可します。

  localhost.localdoamin RELAY
  localhost             RELAY
  127.0.0.1             RELAY
  192.168.0             RELAY

access ファイルをデータベースに変換します。変換には sendmail に付属の makemap コマンドを利用します。その後、再起動すれば、イントラネットからのみ SMTP の利用が可能になります。

  # makemap -v hash /etc/mail/access.db < /etc/mail/access
  key=`localhost.localdomain', val=`RELAY'
  key=`localhost', val=`RELAY'
  key=`127.0.0.1', val=`RELAY'
  key=`192.168.0', val=`RELAY'
  # service sendmail restart

アクセスデータベースの指定をしても、外出先などモバイル環境からは SMTP 認証を使うことにより、メール送信が出来ます。

拒否したいアドレスを指定する

ウィルスメールや、迷惑メール防止のため、受信を拒否したいアドレスやドメインを access ファイルに指定します。メールアドレスの右側に REJECT を指定することにより、受信拒否が出来ます。@ から始まるものはドメインごと拒否されます。

  support@microsoft.com REJECT
  @commercecheck.com    REJECT
  @visa-security.com    REJECT
  localhost.localdoamin RELAY
  localhost             RELAY
  127.0.0.1             RELAY
  192.168.0             RELAY
  # service sendmail restart

関連項目

メールクライアントでメールを受信するには、sendmail ではなく、POP サーバが必要です。POP3, APOP, POP with SSL の設定のページで説明しています。

2 Comments

  1. LINUXのバージョン:2.6.9-34 ELSMP
    SENDMAILのバージョン:8.13.1
    なぜかメールの日本語SUBJECTが化ける現象発生しました。設定の問題なのか疑っていましたが、ご教授お願いします。

    コメント by 小林2006-05-10 11:32

  2. […] sendmail メールサーバ構築・設定 《 futuremix […]

    ピンバック by SPFに対応したsendmailの構築メモ (sendmail,libmilter,sid-milter on CentOS5) : akiyan.com2009-03-30 16:53

Sorry, the comment form is closed at this time.

34 queries. HTML convert time: 0.065 sec. Powered by WordPress. Valid XHTML
Copyright © 2003-2017 @ futuremix.org ログイン