筒井康隆『アホの壁』は笑える人間論の本

2010-5-1 11:00
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アホの壁 (新潮新書): 筒井 康隆

SF作家筒井康隆氏の新書『アホの壁』。本書を書店で見かけたときは『バカの壁』のパロディかと思いましたが、序章に執筆の経緯がありパロディではないということで購入。筒井康隆氏が「バカの壁」と聞いて、読んだことのない本の内容を想像したものを書いたということです。

本書は「まともな人とアホの間にある壁」を想定し、「人はなぜアホなことをするのか」「人はなぜアホな喧嘩をするのか」「人はなぜアホな計画を立てるか」などについて考察をするという筒井流の人間論の本です。決してアホだけを論じているのではなく、アホを通じて人間の姿を浮かび上がらせている手法はまさにSF的。

内容的には著者の体験や自省も含まれますが、フロイトの精神分析や動物行動学者ローレンツの言説なども取り混ぜ、アホに対する考察も行なっています。

ところどころユーモアもあり楽しみながら読めますが、多少散漫な気もしないではありません。筒井康隆ファンとしては押さえておきたい一冊だと思いますが、少々物足りなさは感じるかも。個人的には一読をお薦めです。

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